VDW
粘性制震壁
Viscous Damping Wall
1. 構造と特徴
粘性制震壁は、高粘性流体の粘性抵抗力を利用した減衰装置です。複層の鋼板が薄い箱状を形成する容器に高粘度の粘性体を充填し、上部の開口部から鋼板を挿入したものです。
振動により、上から吊り下げた鋼板が粘性体の中で移動するときにせん断抵抗力が発生し、揺れを抑えます。
この粘性制震壁は以下の特長があります。
1 地震動だけでなく、風振動、機械振動など様々な振動にも対応
2 面内の水平・上下方向の変形のいずれにも対応
3 耐久性・信頼性が高く、粘性体の交換は不要
4 任意のサイズで製作可能で、設計自由度が高い
5 コア部・間仕切り部など、任意の場所に設置可能
6 建設中のタワークレーンや風による振動にも有効で施工精度や安全性が向上
2. 基本特性
減衰力は内壁が動く速度の大きさに伴って増加します。減衰力の基準式を以下に示します。
・基準減衰力算定式(簡易式)
Qc=Cw × V^κ
Cw=α × μ30 × e^β(f,t) × Ae / dy
Qc:基準減衰力(kN) V:相対速度(m/s) κ:速度乗数(実験係数)
α:補正係数 t:温度(℃)(基準温度 = 20℃) f:振動数(Hz)
Ae:せん断有効断面積(m2)(粘性体層数 × 見付有効面積)
μ30:30℃の基準粘度(kN・s/m2)(=9000(N・s/m2))
dy:粘性体層間隙(mm) β(f,t):温度tと振動数fの依存性係数(実験係数)
・式の適用範囲
速度:0.5 cm /s 以上20 cm /s以下 振幅:5.0 mm 以上40 mm以下
振動数:0.2 Hz以上1.0 Hz以下 温度:10 ℃以上 35 ℃ 以下
粘性制震壁のアスペクト比:H / W = 1.5以下推奨 せん断隙間:4mm, 5mm